太陽光発電の仕組みをわかりやすく紹介!発電性能に関わる要素も解説

電気代削減や災害対応の一環として、太陽光発電を導入する企業や家庭が増えています。

太陽光発電の導入によって電力会社から購入する電力量(kWh)を削減でき、毎月の電気代を抑えることが可能です。太陽光発電の導入にあたって、「その仕組みについてまずは知っておきたい」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、太陽光発電で知っておきたい言葉や仕組み、発電性能に関わる要素などを紹介します。

太陽光発電で知っておきたい6つのワード

太陽光発電の仕組みを把握するためにも、まずは関連するワードについて知っておきましょう。

ここでは、太陽光発電で知っておきたい6つのワードを紹介します。

エネルギー

エネルギーとは、仕事をすることのできる力のことです。

私たちの身の回りでは、ものを動かしたり、熱や音を発生させたりするためにエネルギーが必要となります。エネルギーにはさまざまな種類があり、太陽光発電に関連するものとしては、光エネルギーや電気エネルギーなどが該当します。

エネルギーの多くは別の形に変換でき、太陽光発電であれば光エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能です。

また、太陽光発電では再生可能エネルギーという用語も用いられます。これは自然界に存在し、繰り返し利用できるエネルギーのことです。日本においては、太陽光をはじめ、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、バイオマスなどが挙げられます。

太陽光

太陽光は、日光とも呼ばれる太陽から降り注ぐ光のことです。

太陽光には光エネルギーや熱エネルギーを含み、太陽中心部での核融合反応によって発生したエネルギーが、可視光線や赤外線、紫外線などの形で放射されています。

太陽光のエネルギー量は膨大で、1㎡あたり約1kWの放射照度(kW/m²)が地表に届きます。これは地球に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できたとした場合、世界の年間消費エネルギーを1時間でまかなえる規模となります。

さらに太陽光のエネルギーは半永久的に取り出せるため、枯渇の心配がなく、持続可能なエネルギー源として世界中で注目されています。

電力

電力とは、電気が仕事をする能力のことで、単位時間あたりにどれだけエネルギーが消費・供給されたかを示します。

以下の表は、電流、電圧、電力の違いをまとめたものです。

用語 役割 単位
電流 回路を流れる電気の量 アンペア(A)
電圧 電気を流そうとする力 ボルト(V)
電力 単位時間あたりに消費・供給されるエネルギー量 ワット(W)

電力は、電流と電圧の積(電力=電流×電圧)で求められます。

電力には家電製品の消費電力や、太陽光パネルの出力を示す発電電力などがあります。

太陽光発電

太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換して利用する発電方法です。

発生した電気は家庭や工場で使われる電化製品の電源として利用でき、余剰分は電力会社に売却することもできます。電力会社から購入する電気量を減らしたり、売却したりすることで、電気代の節約につながることがメリットです。

また、災害による停電時でも太陽光発電があれば、日中に自家発電した電気を利用できます。照明、冷蔵庫、スマートフォンの充電など最低限の生活を維持することが可能です。

さらに発電時に二酸化炭素などの温室効果ガスを発生しないため、環境に優しい再生可能エネルギーとしても注目されます。

太陽光パネル

太陽光パネルとは、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する設備です。

複数の太陽電池セルを直列や並列につないで、強化ガラスやアルミ枠などでパッケージ化したものとなります。

また、太陽光パネルに使用されている素材には、以下の種類があります。

シリコン系はもっとも一般的で、太陽光発電が開発された当時から使われている素材です。シリコン系はさらに単結晶や多結晶などに分類できます。

有機物系と量子ドット系は、現在も研究開発が進められており、今後の実用化や新しい応用分野への展開が期待されています。

太陽光発電システム

太陽光発電システムは、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換し、家庭や施設で使える電力として供給する一連の装置や機器の集合体です。

主に以下の機器で構成されています。

機器 役割
太陽光パネル 太陽光を受けて電気を作り出す装置
接続箱 太陽光パネルで発電した電気をパワーコンディショナに送る装置
パワーコンディショナー 変換された電気を家庭で使える電力に変換する装置
分電盤 変換された電力を家庭内の各コンセントや機器に分配する装置
電力量計 売った電力と買った電力を計測するメーター
発電量モニター 発電量や消費電力、売電量などをリアルタイムで表示

太陽光発電システムは再生可能エネルギーを活用し、環境負荷を抑えながら電力を安定供給できるシステムです。シンプルな構造でありつつ、設置場所や用途に応じて柔軟に構成できます。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電は太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する技術です。

ここでは、太陽光発電システムの仕組みを紹介します。

太陽光で電気が生じる仕組み

太陽光発電は、シリコン半導体に光が当たると電気が発生する現象を利用し、電気を作り出す仕組みです。

太陽光パネルには、電気的性質が異なるN型半導体(表面)とP型半導体(裏面)が使われています。

そして、それぞれを重ね合わせて光が当たると、N型半導体側に電子(-)、P型側に正孔(+)が移動し、接合面に電位差が生じる性質があります。N型側とP型側にそれぞれ電極を取り付けて、外部回路でつなぐと、電子は外部回路を通ってP型側に流れて電気が発生する仕組みです。

太陽光発電で生じる電気の量

太陽光パネル1kWあたりの年間発電量は、設置方向が南で設置角度が30度の場合に約1,000kWh〜1,200kWhです。

一般家庭の平均年間電力消費量は約5,000kWhとされているため、仮に4kWの太陽光パネルを設置すると電力の多くをカバーできます。ただし、太陽光発電で生じる電気の量は日射量や太陽パネルの種類、パネルの向きなどによって異なる点に注意が必要です。

また、発電量は季節によっても大きく変動し、春から夏にかけて多く、秋から冬にかけては低くなる傾向にあります。春にかけては太陽の高度が高くなり、1日に受ける日射量が増加するためです。一方、秋から冬は太陽の高度が低くなり、日射量が減少するため発電量も低くなります。

発電した電気の使い道

太陽光発電で発電した電気の使い道は「自家消費」と「売電」です。

発電した電気はそのまま家庭や施設内の照明、家電、空調、給湯などに利用できます。自家消費することで電力会社から購入する電気が減るため、電気代の節約につながるメリットもあります。

家庭や施設で使いきれなかった余剰電力は電力会社に売却が可能です。

この売電には「固定価格買取制度(FIT制度)」が適用されており、国が定めた価格で一定期間、電力会社が余剰電力を買い取ることが法律で定められています。また、現在はFIP制度も併用されています。

なお、太陽光発電で発電した電気は、そのままためておくことができませんが、蓄電池を導入することで発電した電気をためて使うことも可能です。

太陽光発電の発電性能に関わる要素

太陽光発電の発電量は、さまざまな要素に影響されます。

ここでは、太陽光発電の発電性能に関わる要素を紹介します。

日射量

日射量とは、太陽から地表に降り注ぐ放射エネルギーの総量です。

日照時間が太陽が出ている時間であるのに対し、日射量は単位面積あたりにどれだけのエネルギーが届いたか(kWh/㎡)を表します。日照時間が長くても雲が多かったり、太陽高度が低かったりすると、日射量は少なくなります。

このように日射量は太陽光発電パネルが受ける光そのものの強さであり、発電量を左右するもっとも重要な要素です。

太陽光パネルの性能

太陽光パネルの性能が良いほど変換効率が大きく、同じ面積・同じ日射量でも多くの電気を作り出せます。

太陽光パネルの変換効率とは、太陽光パネルが受けた太陽光エネルギーを、どれだけ電気エネルギーに変換できるかを示す割合です。

例えば、変換効率20%のパネルであれば、太陽エネルギーを100W受け取った場合に20Wの電気を生み出せます。

また、太陽光パネルの種類においては単結晶パネルの変換効率が一般的に高いとされています。

太陽光パネルの方位

太陽光発電の発電性能は、太陽光パネルの方位によっても変わります。

日本国内においてソーラーパネルの最適な傾斜角度は30度前後、方位の向きは真南です。太陽は東から西に南を通っていくため、南向きに設置することで安定した日射量が確保できます。

一方、北側や北西、北東などは南に比べて大幅に発電量が低下するため注意が必要です。

ただし、これはあくまでも平均的な値や向きであり、最適な傾斜角度は場所によって変わってきます。それぞれの地域や緯度に合わせた傾斜角度に太陽光パネルを設置するのがよいでしょう。

温度

太陽光パネルがもっとも効率よく発電できる理想的なパネル温度は25℃です。

パネル温度が25℃を超えると1℃上昇するごとに発電効率は約0.4〜0.5%低下します。例えば、真夏には太陽光パネルが80℃を超えることもあり、発電量が20〜30%ほど低下することもあります。

これは太陽光パネルの主材料であるシリコン半導体が高温になると、電気抵抗が増加し、電流の流れが阻害されるためです。そのため、夏場は日射量が多いにも関わらず、パネルの高温による効率低下で発電量が思った以上に伸びないケースもあります。

一方、低温の場合は発電効率が高くなる特性があるものの、冬は太陽高度が低いことや、日照時間が短いため発電量は春や夏に比べると少なくなります。

気候・気象

曇りや雨の日は太陽光が減少するため、太陽光発電の効率が低下します。

さらに雨が降ることによって太陽光パネルが汚れてしまい、発電効率が低下する点にも注意が必要です。雨による汚れを防ぐためには、定期的にメンテナンスする必要もあります。

また、寒冷地では雪が太陽光パネルに積もることで、発電効率が低下する可能性もあります。特に日本海側や東北、北海道など、積雪の多い地域では冬の発電効率に注意が必要です。

太陽光発電システムの導入は、地域の気候や気象などの特性も踏まえて検討することが大切です。

太陽光発電の今後

太陽光発電は、他の発電システムに比べて設置条件が比較的緩やかであり、今後も世界的に急速な成長が見込まれています。

現在は世界中で地球環境を守るための取り組みが実施されており、日本においてもパリ協定やSDGs、カーボンニュートラルの目標を達成するために、再生可能エネルギーによる発電設備の導入を推奨しています。

太陽光発電は広大な土地や特別な条件を必要とせず、住宅の屋根や遊休地、工場の屋上、農地などさまざまな場所に設置可能です。個人宅の小規模システムから、メガソーラーのような大規模発電所まで設置規模を柔軟に選べます。

また、太陽光パネルの価格は年々下がっており、設置コストも大幅に削減されています。

さらに、技術革新が進むことで発電効率の向上や蓄電池との連携も進み、天候や時間帯による発電量の課題も克服されつつある状況です。再生可能エネルギーの供給源として、持続可能な社会の実現に大きく貢献していくことが期待されます。

まとめ

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みの発電方法です。太陽光パネルに太陽が当たると、半導体内部で電子が動き、電流が発生する仕組みとなっています。

太陽光発電を導入することで、発電時にCO₂などの温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化防止や環境保護に大きく貢献できるメリットがあります。また、燃料を必要とせず、日射が得られる場所であれば発電可能なため、エネルギー自給率の向上や電気代の節約にもつながるでしょう。

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